この手に願いを君に祝福を

1-8.I love you

 カムイ。カムイ。カムイ。カムイカムイカムイ。カムイ。 どうしてあの《女》はあちらを選んだんだろう。  あの女さえ来なければ母上は死ななかった。あの女がこちらを選べばこんな戦争なんて起こらなかったのに。戦争が起こらなければ、たくさんの民が死…

1-7.moonlight blue

 アサシンは夜の闇を駆けていた。霊体化し、気配を薄く薄く引き伸ばして遮断して、白柳高校はくりゅうこうこうに居座るバーサーカーの元を目指す。  あの人の指示のもと、もう一度一緒に戦場を駆けられるとは思わなかった。青空の下ではないことだけが悔し…

1-6.fall down fall down

 俺たちはその後、ストラテジストと別行動をとり、六人と大所帯で移動していた。 先頭を歩いているのはアーチャーで気分でもいいのか鼻歌を歌っている。 宝具を開放できないという戦争に参加するにあたり、致命的な弱点を抱えているがアーチャーは些細なこ…

1-5.暗殺者/Class change

 お昼休み。今日も今日とて、俺達三人は中庭で昼食をとっていた。 昼休みにここで昼食を取りながら作戦会議するのが同盟二日目にして決まり事となりつつあった。「笑顔のストラテジストさんは後にして、僕から報告しますね」 あかりの言う通り、にこにこ笑…

1-4.You are mistaken

 一哉は帰宅してすぐに、工房である地下室へとストラテジストを伴って向かった。 そこは日の光も差さず薄暗い。定期的に掃除はしているが追い付いていないのか埃っぽく、一哉とてこの場は好んでいない。 両親が傾倒した魔術に対する誇りもなく、増してやそ…

1-3.隔たり

 昼休み。一哉は昨日に引き続き日当たりの悪い中庭で昼飯を食べていた。  本日のメニューは炒飯と唐揚げ、酢豚、玉子焼きだ。炒飯と酢豚は昨日の残りで今朝作ったのは玉子焼きだけのお手軽弁当だ。 メンバーは昨日接触した明石由紀とすれ違ったアーチャー…

1-2.Kill me

 日も暮れ、街灯が街を照らし、静まり返る中、一哉は動き出す。ここからは魔術師の時間だ。 スニーカー、ジーパン、パーカーとラフで動きやすい服装で家を出た。ストラテジストに持って出るように言われた剣はショートスキーケースに入れて肩にかけてある。…

1-1.召喚

お前はこの僕が倒してみせる。 例え刺し違えても、必ず殺してやる…! お前だけは、絶対に、許さない。 空が不気味なほど赤かった。 轟々と唸る風は髪もローブもはためかせる。 夕焼けを背にして佇むもう一人の自分は驚愕に顔を歪ませている。自分はこん…